カーリングという競技において、最終投手を担うスキップの判断はチーム全体の運命を左右する。吉村紗也香の真骨頂は、土壇場で見せる冷静沈着な読みにこそある。相手ガードストーンのわずかな隙間を突く精密なドローショット、あるいは局面を一変させる力強いテイクアウト。一歩間違えれば大量失点につながるリスキーな場面でも、彼女の手に握られたラストストーンは吸い込まれるようにハウスの中心へと伸びていく。
彼女の決断力は、単なる直感ではない。数ステップ先まで読み切るチェスのような戦術眼と、自身のショットに対する絶対的な自信から生まれている。「プレッシャーを楽しめるようになった」と笑う吉村の言葉通り、ピンチの時ほどその冴え渡る采配がチームを救う。司令塔としての確かな存在感が、フォルティウスの揺るぎない支柱となっている。