岐阜県出身の岡田奈々は、1974年にオーディション番組『あなたをスターに!』での審査員特別賞受賞を契機に芸能界入りを果たしました。翌1975年に「ひとりごと」で歌手デビューを飾り、ポッキーの初代CMキャラクターを務めるなど、その圧倒的な美貌と知的な佇まいは瞬く間に全国のファンを虜にしました。
「女学生」「手編みのプレゼント」といった初期のヒット曲に続きリリースされた「青春の坂道」では、彼女のボーカリストとしての資質が遺憾なく発揮されています。技術的な技巧に頼りすぎず、言葉のひとつひとつを丁寧に紡ぐその歌唱スタイルは、過度なビブラートを抑えた澄んだウィスパーボイスが特徴的です。
当時の一部批評では清純派アイドルの枠組で語られがちでしたが、後年の音楽的検証においては、楽曲の持つ哀愁と文学性をストレートに届ける「表現者としての芯の強さ」が高く評価されています。素朴でありながら濁りのない歌声は、時代を象徴するマスターピースを完成させる不可欠な要素でした。