アパレル業界の年収に関しては、ネット上に多くの誤解が蔓延している。ここでは特に注意すべき盲点を指摘したい。
第一の誤解は「アパレルはどこも薄給」というものだ。確かに平均値は低いが、企業規模や業態によって給与体系は大きく異なる。SPA企業やラグジュアリーブランド、商社系アパレルは、一般の専門店チェーンよりも明確に給与水準が高い。つまり「業界平均」はあくまで参考値であり、自分の市場価値を業界平均で判断するのは危険である。
第二の誤解は「デザイナーになれば高収入」という幻想だ。実際には、デザイナーの年収は経験と実績に強く依存し、アシスタントクラスでは300万円台が一般的である。むしろ、デザインとマーケティングの両方を理解できる人材の方が、年収を上げやすい傾向にある。
第三に、「年収」と「手取り」の混同がある。アパレルは社会保険料や税金が引かれた後の手取り額が、額面年収の7〜8割程度になることが多い。額面400万円でも手取りは月25万円前後であり、生活実感としては決して高くない。転職を考える際は、必ず手取りベースで比較することが重要だ。
また、ネットの反応を見ると「アパレルは残業が多い」「休みが取りにくい」といった労働環境への不満が年収以上に目立つ。2026年は働き方改革の影響で残業は減少傾向にあるが、その分、基本給の低さがより際立つようになっている。年収アップを目指すなら、給与体系そのものを見極める目が必要だ。