購入者を最もパニックに陥れるのが「表面にカビが生えてきた」という事態です。「腐らせてしまったのではないか」と勘違いして丸ごと廃棄してしまう悲劇も散見されますが、スペイン現地の生ハム職人や輸入業者の見解では、表面のカビは熟成食品において極めて日常的な現象とされています。
生ハムの内部は極めて高い塩分と低水分活性によって守られており、雑菌が内部まで浸食することは基本的にありません。トラブルを未然に防ぎ、発生時に冷静に対処するための生ハム原木 カビ対処法と日々の生ハム原木 保存方法には明確なルールが存在します。
【カビが発生した際のリセット手順】
表面に白い粉状のカビや青い斑点が発生した場合は、清潔なキッチンペーパーに食用オリーブオイルをたっぷりと染み込ませ、カビを丁寧に拭き取ります。オイルで落ちない頑固なカビや変色部は、ナイフで表面を1〜2mm程度薄く削ぎ落とせば、内部の肉質には何ら問題ありません。アルコール除菌スプレーを直接吹きかけると肉の風味が損なわれるため、オリーブオイルまたは食乾用アルコールを含ませたペーパーでの拭き取りが鉄則です。
【失敗しない日常の保管ルール】
原木を冷蔵庫に入れるのは厳禁です。冷えすぎると脂が固まり、結露によってかえってカビの温床となります。直射日光とエアコンの風が直接当たらない、室温15〜22℃前後の風通しの良い冷暗所で常温保管するのが基本です。また、カットした断面の乾燥と酸化を防ぐため、削ぎ落とした外皮や脂身を断面に乗せ、上から食用オリーブオイルを薄く塗った上で清潔な綿の布巾や専用カバーをふんわりと被せて保護します。