高い評価を受けるイイノ広尾スタジオですが、案件の性質によっては事前のすり合わせを怠るとトラブルに繋がる盲点も存在します。ネット上の情報や一般的なイメージだけで判断せず、以下の3点について現場目線で把握しておく必要があります。
第1に、「完全防音スタジオではない」という点です。同録(音声の同時録音)を伴うムービー撮影を行う場合、近隣の交通音や別スタジオからの作業音に対する配慮が必要となります。同録メインのCMやドラマ撮影の場合は、予約段階でスタジオ側に録音条件を伝え、サウンドチェックの可否を確認することが推奨されます。
第2に、「セルフユース格安スタジオ感覚での利用はミスマッチを招く」点です。昨今の低価格帯レンタルスタジオと異なり、基本料金にはプロ基準のホスピタリティやアシスタントサポートが含まれています。少人数でカメラ1台のみ、照明も持ち込み機材だけで済むような小規模案件の場合、スタジオスペックを持て余しコスト高に感じる可能性があります。
第3に、「ホリゾントの塗り直し(ペイント)費用の事前確認」です。車輌の乗り入れや特殊な美術セットの建て込みで床面を汚す可能性がある場合、撮影終了後の白塗り補修費用が別途発生します。原状復帰のタイムスケジュールと費用感をあらかじめ見積もりに含めておくことが、予算オーバーを防ぐポイントです。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
以上の特性を踏まえると、イイノ広尾スタジオの利用における明確な選択基準が見えてきます。
【選ぶべき案件・利用に向いている人】
・ナショナルクライアントの広告キービジュアル、ファッション誌表紙、大型ポスター撮影
・当日その場で複雑なライティング調整や機材追加が想定されるハイエンドスチール案件
・VIPタレントやモデルを起用し、清潔で設備の整ったメイク室や待機環境が不可欠な撮影
・経験豊富なアシスタントのサポートを受け、進行遅延の致命的リスクをゼロに抑えたい制作チーム
【慎重に検討すべき案件・向いていない人】
・極小予算でスタジオレンタル代を数千円〜1万円台前半に抑えたいWeb単体案件
・ピンマイクやガンマイクによる繊細なセリフ収録がメインとなる長尺対談動画
・スタジオスタッフの立ち入りを完全に拒否し、自社完結のみで作業を行いたいケース