京都に存在する五つの花街(祇園甲部・宮川町・先斗町・上七軒・祇園東)は、それぞれが独自の芸風と歴史を象徴する拠点劇場「歌舞練場」を構えています。しかし、2010年代半ばから顕在化した耐震基準への適合問題や建物の老朽化を受け、ここ数年で劇的な再編が進められました。
かつて耐震強度不足によって休館を余儀なくされていた祇園甲部歌舞練場は、高度な免震レトロフィット工法による大規模改修を完了し、堂々たる姿で「都をどり」の本拠地上演を継続しています。大正2年(1913年)建築の木造大劇場の骨格をそのまま残しながら、地下に免震装置を組み込む難工事の成功は、歴史的建造物保全の金字塔と称されています。
一方で、最もドラスティックな変革を遂げたのが宮川町歌舞練場です。老朽化に伴う解体・建て替え計画において、敷地内に高級宿泊施設を誘致する複合再開発プロジェクトを選択。伝統芸能の継承基盤を資金面・機能面から恒久化する先進的な試みとして全国的な注目を集めました。