不動産トラブルの専門窓口や民事再生の現場を取材すると、契約書に判を押してしまった人々の生々しい悔恨の言葉が記録されています。大手電機メーカーに勤務する30代後半の男性エンジニアは、複数の情報サイトや知人の紹介をきっかけに都内3件のワンルームを購入し、現在月11万円の赤字に苦しんでいます。
「最初は『生命保険の代わりになる』『将来の自分への仕送りだ』と説明され、営業担当者の熱心な姿勢にほだされてしまいました。しかし購入から4年が経過し、金利上昇と管理費の値上げ通知が相次いだことで、毎月の手出し額は一気に倍増しました。給料日になると住宅ローンと管理費の引き落としだけで給与口座が空になり、残業代でなんとか生活費を捻出する日々です。妻には怖くて一度も相談できていません。ポストに届く総会資料や税金の納付通知書を見るたびに心臓が締め付けられます」(男性の手記および相談調書より)
SNSやネット掲示板の投資関連スレッドでも、「毎月の補填で貯金が底をついた」「ボーナスがすべてマンションの固定資産税と赤字補填に消える」といった悲痛な書き込みが溢れています。多くの当事者が共通して陥っているのが「サンクコスト(埋没費用)の呪縛」です。「ここまで数年間にわたり数百万円を補填してきたのだから、いま手放したら大損が確定してしまう」「いつか相場が反転して不動産価格が上がるはずだ」という現実逃避が、破滅的な結末を先送りさせています。