深江キャンパスの歴史を語る上で外せないのが、2003年の神戸商船大学と神戸大学の統合、そして2021年4月に断行された海洋政策科学部への大改組です。旧来の海事科学部が理工系・海事技術者養成に主眼を置いていたのに対し、新学部は「海洋の総合管理・ガバナンス」を掲げ、法学・経済学といった社会科学系分野と、海洋ロボティクス・AIデータサイエンスなどの先端理工系を融合させた4領域(海洋ガバナンス領域、海洋モビリティ領域、海洋インフォマティクス領域、海洋MS領域=旧機関・航海コース)へと再編されました。
この改組による最大の地殻変動は、学生層の多様化です。入試制度において文系科目重視の選抜枠が新設・定着したことで、旧商船大時代から続いていた「理系男子学生が9割以上」という極端なジェンダーバランスが激変しました。神戸大学深江キャンパスの評判を追う取材班の調査でも、新学部移行後は女子学生の比率が約3割近くまで上昇し、キャンパス内のカフェテリアや自習スペースの風景はかつての質実剛健な船乗り学校の雰囲気から、洗練された総合大学の専門拠点へと鮮やかに脱皮を遂げています。
一方で、伝統的な航海士・機関士の国家資格である海技士の資格取得を目指す教育プログラム(海洋MS領域)も強固に維持されています。関係者の証言によると、「単に船を動かす知識だけでなく、環境規制(IMO脱炭素目標)や国際海洋法を俯瞰できる次世代の海事リーダーを育てる環境が整った」とされ、産業界からの評価は改組前以上に高まりを見せています。