和月伸宏氏の大人気漫画・アニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』に登場する「御庭番衆(四乃森蒼紫ら)」は、多くのファンを魅了し、御庭番という単語を全国区に押し上げました。作中では江戸城の要所を護る戦闘集団、あるいは暗殺・諜報を兼ねた武闘派忍者部隊として描かれています。
ネット上のコミュニティやSNSでは「実際の御庭番もあのように強力な格闘術を使っていたのか?」という疑問が今なお頻繁に交わされていますが、史実の御庭番は暗殺部隊ではありません。彼らに求められたのは戦闘で勝つことではなく、「誰にも気づかれずに生きて情報を持ち帰る逃走術・護身術」でした。拳法や小太刀術などの武芸訓練は受けていたものの、それはあくまで自衛のための最終手段に過ぎなかったのです。
また、作中で描かれた「影として生き、名を捨てた悲哀」という一面も、史実ではやや異なります。御庭番の家系は幕府内で確固たる武士の身分を保証されており、功績を挙げれば勘定奉行や外国奉行といった幕府要職へ大出世するキャリアパスが開かれていました。フィクションのダークヒーロー像と、史実の有能なテクノクラート像には大きな隔たりが存在します。