ネット上のQ&AサイトやSNSで頻繁に見受けられる「エクステを付けたら地毛がごっそり抜けた」「髪がボロボロに痛んだ」という口コミ。この噂の背景には、人体生理学的な誤解と、物理的負荷による実害の双方が混在しています。
日本毛髪科学協会の学術知見および皮膚科医の見解を総合すると、真相は以下の3つの要因に分解されます。
1. 「自然脱落した抜け毛」が結び目に溜まる錯覚
健康な人間の頭髪は、ヘアサイクルにより1日あたり約50本〜100本が自然に抜け落ちています。通常はブラッシングや洗髪時に自然と洗い流されますが、エクステを装着している期間は、接合部に留まったまま落ちることができません。
1ヶ月(約30日)装着したエクステを外す際、約1,500本〜3,000本の「本来毎日抜けていたはずの毛」が一気にまとまって落ちてきます。これが「エクステのせいで大量に髪が抜けた」と錯覚してしまう最大の構造的要因です。
2. 牽引性(けんいんせい)脱毛症のリスク
一方で、物理的なダメージがゼロというわけではありません。毛根に対して長期間にわたり引っ張る力が加わり続けると、毛包が炎症を起こし、一時的な脱毛を招く「牽引性脱毛症」のリスクが生じます。特に極端に細い地毛の束に重いエクステを付けた場合や、就寝時の寝返りで強く引っ張られた場合に発生しやすくなります。
3. シャンプー不足による頭皮トラブル
接合部を気にするあまり、根元の洗髪をおろそかにすると、皮脂や角質、シャンプーのすすぎ残しが毛穴を塞ぎます。これにより常在菌が繁殖して痒みやフケ、毛嚢炎を引き起こし、結果として健康な地毛の育成を阻害してしまうケースが後を絶ちません。