多くの鉄道路線が交差する高田馬場駅は、都内でも有数の乗降客数を誇るハブエリアだ。規制線が敷かれた直後、駅構内やバスロータリーには帰宅困難となった人々や状況を把握できずに立ち往生する若者たちが溢れかえった。社会部記者が現地に入った午後8時過ぎ、現場周辺は通常の活気とは完全に切り離され、張り詰めた沈黙と警察無線の電子音だけが響いていた。
「普段通っている道が真っ黄色なテープで塞がれ、警察官が『立ち止まらないでください』と叫んでいた。何が起きたのか分からず本当に怖かった」。早稲田通り沿いに住む男子大学生は当時の混乱を振り返る。周辺の商店街ではシャッターを早々に下ろす店舗が相次ぎ、地域の日常は一夜にして奪われた。記者が目撃した規制線の内側では、ブルーシートで覆われたエリアを囲むように鑑識班が慎重に作業を継続しており、事件の生々しい爪痕が暗闇に浮かび上がっていた。