一方で、都心移転が学生にとってすべて薔薇色かといえば、現場からは複雑な吐露も聞こえてきます。キャンパスの形態が広大なグラウンドを持つ「フラット型」から、限られた敷地にそびえ立つ「ペンシルビル型(高層タワー型)」へと変貌したことで、学生生活の質そのものが大きく変容したためです。
SNSや在学生への聞き取り調査では、次のようなリアルな本音が浮き彫りになっています。
「茗荷谷は駅を出て目の前に大学があり、雨の日でも全く濡れずに教室へ行ける。空き時間に大手町のインターンへスーツで直行できるのは多摩時代ではあり得ない特権」(中央大法学部・学部生)
「昼休みのエレベーター混雑がすさまじく、移動だけで10分以上待たされることがある。緑に囲まれて芝生で友人と昼食をとるような、いわゆる『キャンパスライフ』の情緒は皆無に近い。オフィスビルに通っている感覚に近い」(都心ビル型キャンパス在学生)
都心回帰のメリット・デメリットは表裏一体です。通学や就職の利便性と引き換えに、サークル活動のための部室棟やグラウンドの不足、学食の座席争奪戦、近隣飲食店でのランチ代高騰など、日々の生活コストと閉塞感が学生の肩に重くのしかかっています。