アーケードを歩いていると、金属の乾いた研磨音が耳に飛び込んでくる。道具屋筋を象徴する花形アイテムといえば、なんと言っても和包丁だ。中でも、600年以上の歴史を誇る伝統工芸品堺打刃物の品揃えは圧倒的である。
プロのシェフが仕込みに使う柳刃包丁や出刃包丁はもちろん、家庭で使いやすい三徳包丁まで、刃物店の店頭には数百本を超える逸品がズラリと並ぶ。職人が客の目の前で銘を刻み、手入れの仕方を伝授してくれる接客は、まさに職人文化の生きた体験だ。近年では「最高の切れ味」を求めて欧米やアジアのトップシェフが自ら足を運び、お気に入りの一本を買い求める姿が日常の光景となっている。