タツマキのパーソナリティを語る上で欠かせないのが、S級1位の英雄「ブラスト」との過去、そして主人公「サイタマ」との特異な関係性です。
ブラストの救出と「呪い」となった言葉
タツマキが10歳の時、囚われていた研究所で怪獣が暴走し、彼女は見捨てられて独房に置き去りにされました。自らの力を隠していたタツマキを救い出したのが、当時ヒーロー活動を趣味で行っていたブラストでした。
その際、ブラストがタツマキに遺した言葉が、彼女のその後の人生を決定づけることになります。
「いざという時 誰も助けてくれないと思え」
この教えは、タツマキにとって過酷な世界を一人で生き抜くための「絶対の指針」となったと同時に、「他人に頼ることを極限まで恐れる」という重い精神的トラウマ(防衛機制)となりました。彼女が他者を見下し、妹すらも自らの庇護下に置こうと固執するのは、裏を返せば「誰も信じられない孤独」の裏返しだったのです。
サイタマとの激突|恋愛関係ではなく「対等の理解者」へ
怪人協会編の収束後、原作コミックス101話以降および村田版の最新シリーズで描かれた「タツマキ vs サイタマ」の一騎打ちは、読者を大いに沸かせました。フブキ組を解散させようとするタツマキに対し、サイタマが「お前、フブキのことが好きなんだな」と核心を突き、力づくで止めに入ったことで戦いが勃発します。
タツマキがどれほど地球規模のサイコキネシスをぶつけても、サイタマには擦り傷一つ付きません。全力の攻撃を浴びせてもビクともせず、暴走する自分をただ受け止め、疲弊した自分を気遣うサイタマの背中に、彼女は無意識のうちにかつて自分を救ったブラストの面影を重ね合わせました。
ネット上では二人のやり取りを見て「サイタツ」と呼ばれるカップリング人気が沸騰していますが、原作の文脈における二人の関係は安直な恋愛感情ではありません。「初めて自分の全力を受け止めきった存在」であり、「孤独な最強の頂に立つ者同士の魂の共鳴」と解釈するのが最も正確です。サイタマの手を振りほどきながらも見せたわずかな感情の揺らぎは、タツマキの閉ざされた心が初めて外の世界へと開かれた瞬間でした。