本作が映画関係者に与えた最大の衝撃は、その先鋭的な映像表現にある。従来の枠組みでは分類不能な、アニメーション映画とドキュメンタリー映画の境界線を完全に融解させたハイブリッド構造が採用されているのだ。
安藤建築の幾何学的な空間美を捉えた緻密な実写映像の中に、スタジオジブリ仕込みの手描きアニメーションが違和感なく溶け込む。風の吹き抜けや書架の間をすり抜ける光の粒が、息をのむような繊細さで作画され、実写空間と相互に干渉し合う。最先端の映像制作技術と職人技の極致がぶつかり合うことで、観客はあたかも自分自身が森の深淵に迷い込んだかのような錯覚に陥る。この前代未聞の映像言語は、視覚表現の歴史に新たな1ページを刻むに違いない。