現場を歩くと、活気ある呼び込みの声とともに、名物グルメを求める来訪者の行列が今も変わらず続いています。再開発の話題が先行する一方で、新天町が培ってきた食と文化の象徴は、どのように未来へと引き継がれるのでしょうか。
代表格といえるのが、1947年創業の老舗そば処「飛うめ」です。厳選された羅臼昆布と削り節の出汁が効いた名物の天丼や親子丼、天とじうどんは、福岡市民のソウルフードとして親しまれてきました。常連客の間では「建て替えで飛うめの味が失われてしまうのではないか」という懸念が広がっていましたが、店舗側は再開発期間中の仮店舗営業や新ビルへの再出店を含めた事業継続の道を模索しています。
また、サンドーム広場にそびえる日本最大級のからくり時計「メルヘンチャイム」の去就もファンの最大の関心事です。1981年の設置以来、毎正時に鐘の音とともに人形たちが現れる演出は、天神の待ち合わせ場所の定番として愛されてきました。商店街役員らの証言によると、この時計台が持つ情緒的価値を重視し、新設される低層アトリウム広場や公開空地への再移設・リニューアル保存が検討課題として強く意識されています。