自転車の指導・警告を行う警察署員自身が、なぜ事故回避に失敗するのか。現場の警察官からの聞き取りや内部告発を通じて見えてくるのは、過酷な職務環境と車両特性の変化です。背景にある警察官自転車事故の理由として、まず挙げられるのが電動アシスト自転車の全面配備に伴う走行速度の上昇です。
重量のある装備品を身につけ、勾配のある地域でも迅速に移動できるよう、現在の警ら用自転車の多くは電動アシスト型へ更新されました。これにより初速や巡航速度が跳ね上がった一方、急ブレーキ時の制動距離は延び、狭い路地での制御難易度が増大しています。
さらに、通報を受けた警察官には「数分以内に現場到着せよ」という無線指令による時間的プレッシャーが重くのしかかります。職務質問のノルマや地域警戒の巡回基準に追われ、本来であれば減速すべき一時停止場所や見通しの効かない側道前で突入を試みてしまう環境が、事故のリスクを劇的に引き上げているのです。