構造設計の実務において、死荷重の計算は極めて緻密な積算作業の積み重ねです。勘や経験則で概算するのではなく、建築基準法施行令第84条第2項に定められた材料の単位体積重量(密度)を基準とし、仕上げ表や意匠図面から各層の構成厚みをミリ単位で拾い出して計算を行います。
令第84条に例示されている主要な材料の単位体積重量は下表の通り規定されています。
- 普通コンクリート:23 kN/m³(鉄筋コンクリートとして計算する場合は鉄筋量を加味して24 kN/m³を採用)
- 鋼材:77 kN/m³(実務設計では78.5 kN/m³で計算)
- 木材(スギ・ヒノキ等):5 kN/m³〜8 kN/m³
- モルタル:20 kN/m³
- 板ガラス:25 kN/m³
実際の計算手順は、部位ごとの単位面積(1㎡あたり)にかかる荷重(N/㎡ または kN/㎡)を算出するステップから始まります。
例えば、一般的なオフィスビルの標準的なRC床スラブ(厚さ150mm)にタイルカーペットを敷設する場合の単位面積あたりの死荷重計算は以下のようになります。
- 構造スラブ自重:コンクリート厚0.15m × 24 kN/m³ = 3.60 kN/㎡
- モルタル調整下地(厚さ30mm):0.03m × 20 kN/m³ = 0.60 kN/㎡
- 仕上げ材(タイルカーペット・接着剤):メーカー仕様値より 約0.05 kN/㎡
- 天井仕上げ(石膏ボード+軽量鉄骨下地+照明):標準値 約0.25 kN/㎡
- 床1㎡あたりの合計死荷重:3.60 + 0.60 + 0.05 + 0.25 = 4.50 kN/㎡
この床単位面積あたりの死荷重に、床の負担面積(柱や梁が受け持つスラブ面積)を掛け合わせることで、各梁や柱に伝わる固定荷重を確定させます。さらに柱自体の自重、外壁材の重量、設備配管の重量を合算し、上階から下階、そして基礎杭へと荷重伝達経路に沿って積算していくのが、構造計算の実務における死荷重算定の全貌です。