三公社五現業とは?JrやNttへの変遷と民営化の真実【一覧解説】

三公社五現業とは?JrやNttへの変遷と民営化の真実【一覧解説】

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三公社に遅れること約20年、平成の政治空間を二分したのが2005年の小泉純一郎内閣による「郵政民営化」でした。五現業の筆頭格であった郵便事業の民営化は、三公社の改革とはまた異なる複雑な経路をたどっています。

かつての郵政省・郵政事業庁は、約40万人もの現業国家公務員を抱える世界最大級の国家事業体でした。郵便貯金と簡易保険に集まった資金(いわゆる「郵便貯金資金」)は、財政投融資(第2の国家予算)を通じて道路公団などの特殊法人へ無尽蔵に流し込まれ、官製談合や無駄な公共事業の温床と批判されていました。

小泉首相が掲げた「官から民へ」の号令のもと、郵政解散総選挙を経て2007年に日本郵政グループが発足。現在は日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社体制で運営されています。しかし、完全な民間企業となった現在も、「全国津々浦々の郵便局ネットワークを維持する」というユニバーサルサービス義務が課されており、物流の「2024年問題」以降の輸送コスト上昇や手紙離れの中で、過疎地拠点の維持コストが経営の重荷となっています。

一方、五現業のうち郵政以外の4事業は、まったく別の結末を迎えました。

  • 独立行政法人 造幣局・国立印刷局:通貨の偽造防止や信用維持という国家主権の根幹に関わるため、民間売却は行われず、職員の公務員身分を解いた「非公務員型独立行政法人」として国の管理下に置かれています。
  • 農林水産省 林野庁(国有林野事業):かつては独立採算の特別会計で運営され、木材価格の暴落により3兆円近い累積債務を抱えていました。しかし2013年、森林の多面的機能(山崩れ防止や水源保全)を重視し、特別会計を廃止。累積債務を一般会計(国債)で肩代わりした上で、「国の直営行政組織」へと回帰させました。
  • 日本アルコール産業:旧通産省のアルコール専売事業は、独立行政法人を経て完全民間企業化。工業用エタノールの国内トップメーカーとして自立しています。
渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。