日常の会話ではあまり使われない縊死の読み方は、「いし」と読みます。「縊」という漢字には「くびる」「ひもで首を締める」という意味が含まれており、法医学の世界では極めて厳密な区分を持つ学術用語として定着しています。
縊死の法医学定義における核心は、索条(首に巻かれたロープ、コード、布など)に「自身の体重(自重)」が加わることで頸部が圧迫(縊頸:いけい)され、生命活動が停止する現象を指します。法医学研究所や大学の法医学教室における鑑定基準では、足が完全に床から浮いている状態(完全縊死)のみならず、足や膝が床に着いた状態(不完全縊死)であっても、自重の一部が作用していればすべて「縊死」に分類されます。
公的な鑑識記録や検死調書において、縊死が死因として記載される場合、それは主観的な動機(自死か事故かなど)を示すものではなく、「外力ではなく自重によって頸部が圧迫された」という物理的事実を指す純粋な医学的診断名です。