二次流通市場における『亡国の吸血姫』の価格推移を追うと、配布直後からすでに3万〜5万円で取引されていたものの、2026年代半ばを経て2026年現在は12万円から18万円前後という記録的なプレミア水準で固定化しています。この異常事態の背景には、3つの明確な要因が存在します。
第一に、取得ハードルの異常な高さです。本作を手に入れるためには、2018年秋に発売されたTVアニメ第3期のBlu-rayまたはDVD(全3巻、定価総額約4万円)をすべて購入し、封入された応募券を期間内に送付する必要がありました。「定価4万円の出費」と「リアルタイム応募の義務」という二重のフィルターによって、現存する実物の絶対数が極端に絞り込まれています。
第二に、所有者の手放さなさ(ホールド率の高さ)です。内容が公式外伝としてあまりにも優れており、かつ装丁が本編単行本と完全に同一の美麗な装丁であるため、手放そうとするファンが極端に少ないのです。フリマアプリやネットオークションに出品される頻度が低いため、需要過多が是正されません。
第三に、原作者による「商業化・電子書籍化の完全否定」です。ファンから文庫化や電子配信を望む声が殺到した際にも、丸山くがね氏は自身のSNS等で「高いお金を払って全巻購入してくれた読者との約束である」という趣旨を表明。特典限定の約束を守る姿勢を崩していません。この確固たる方針が「後から安価で読む手段は永久に訪れない」という市場認識を固定化させ、プレミア価格をさらに強固なものにしています。