荒汐部屋の強さを支えているのは、親方である8代荒汐(元前頭・蒼国来栄吉)の卓越した指導手腕と人間力です。中国・内モンゴル自治区出身の蒼国来は、現役時代に数々の逆境を乗り越え、不屈の闘志で幕内上位まで登りつめました。その経験に裏打ちされた指導法は、極めて論理的かつ選手一人ひとりの個性に寄り添ったものです。
その薫陶を受けて道を切り拓いた代表例が、フィリピン出身力士として史上初の一関取昇進を果たした荒篤山(こうとくざん)です。幾多の苦難を乗り越えて十両昇進を果たした彼の軌跡は、多国籍な背景を持つ力士たちにとって大きな希望の光となりました。
また、現在の荒汐部屋は若手育成においても目覚ましい成果を上げています。入門時からその恵まれた体躯と相撲センスで注目を集める大青山(だいせいざん)や、中学横綱として鳴り物入りで入門した丹治(たんじ)、大型力士として期待される大凛山(だいりんざん)など、力士一覧を見渡せば次代の幕内を狙う逸材が着実に力をつけています。蒼国来親方は伝統的な猛稽古を重んじつつも、科学的なトレーニング理論や個別のメンタルケアを柔軟に取り入れ、力士のポテンシャルを最大限に引き出しています。