では、どのように練習すれば、機械にしっかり認識されつつ、人間の耳にも心地よい「プロ品質のしゃくり」を習得できるのでしょうか。初心者でも今日から実践できる3ステップの練習メソッドを解説します。
ステップ1:目的の音程を正確に把握し、半音下のピッチを鳴らす
しゃくりの失敗で最も多いのは、「どの音からどの音へ上がっているのか自分でも分かっていない」状態です。まずは鍵盤アプリやピアノを使い、出したい本来の音(例えば「ソ」)と、その半音下の音(「ファ♯」)を交互に鳴らして耳に記憶させます。下げる幅は「全音下(ファ)」でも構いませんが、半音下からアプローチする方がJ-POPでは格段に現代的でスタイリッシュに聴こえます。
ステップ2:ハミングで「んー」と下から滑らかにスライドさせる
いきなり母音(あ、い、う、え、お)で発声しようとすると、喉に余計な力が入り、急激な階段状の音程移動になってしまいます。まずは口を閉じ、脱力した状態でハミング(鼻歌)を行います。「ん(半音下)〜ん(目的の音)」と、無段階に変速するトロンボーンのように、滑らかにピッチを持ち上げる感覚を掴んでください。このとき、スライドにかける時間は0.1秒〜0.2秒程度のごく一瞬にとどめるのがプロのニュアンスに近づく最大の秘訣です。
ステップ3:子音をクッションにして母音で目的音へ着地する
ハミングで感覚を掴んだら、実際の言葉に適用します。しゃくりを成功させる極意は、「子音の段階で低い音程に入り、母音が開いた瞬間に本来の音程へすくい上げる」という時間差のコントロールにあります。
例えば「さ(Sa)」という歌詞の場合、子音の「S」の息を吐き出す瞬間は半音下のポジションを意識し、母音の「a」が鳴り響く瞬間に本来の音程へ滑り込ませます。このわずかな母音の立ち上がりを意識するだけで、喉を締め付けることなく、息に乗った美しいしゃくりがオートマチックに発動するようになります。