2001年12月5日午後、東京・世田谷区の野村邸に東京地検特捜部の係官が踏み込み、野村沙知代氏の身柄を拘束しました。世間を驚愕させた東京地検特捜部によるサッチー逮捕の直接的な理由は、自身が実質的なオーナーを務めていた個人事務所「エフ・エンタープライズ」などを通じた巨額の所得税法違反および法人税法違反(脱税事件)です。
東京地検特捜部および国税局査察部(通称・マルサ)が暴いた手口は、巧妙かつ大胆なものでした。当時、テレビ番組への出演、講演活動、数多くの著書出版などによって莫大なメディア出演料や印税収入を得ていた沙知代氏は、1997年から2000年までの4年間において、以下のような偽装工作を主導していたことが判明しています。
沙知代氏は、存在しない架空の外注費やマネジメント業務委託費を計上したほか、自身の口座や親族名義の口座へ報酬を直接振り込ませる売上除外を反復継続していました。隠匿された所得隠しの総額は約5億6800万円に達し、免れた税額は法人税約4500万円、所得税約1億6800万円の計約2億1300万円という巨額にのぼります。
当時、芸能人の申告漏れ事案は税務署による追徴課税(行政処分)で処理されるケースが一般的でした。しかし、本件が国税局の査察にとどまらず東京地検特捜部のダイレクトな強制捜査・逮捕劇へと至った背景には、悪質な仮装隠蔽工作の存在に加え、国政選挙への出馬歴など公人としての責任、そして後述する一大ワイドショー抗争による社会的影響力の過熱がありました。