「薬の消費期限(使用期限)切れは飲んでも大丈夫?」「1年前に開封した風邪薬や目薬は残りを使い切っていいのか?」という疑問に対する医学的な回答は、例外なく「直ちに破棄し、決して口や目に入れてはならない」です。
まず根本的な前提として、医薬品医療機器等法(薬機法)において定められているのは「消費期限」ではなく「使用期限」です。この期日は、「未開封の状態で、パッケージに指定された保存条件(直射日光や高温多湿を避けた環境など)を厳格に守った場合に、有効成分の品質と有効性が90%以上維持されるリミット」を指しています。
日本薬剤師会や製薬各社の安定性試験データによれば、外箱に印字された期日を1年過ぎた風邪薬の場合、空気中の水分や酸素、微小な温度変化によって有効成分の加水分解や酸化反応が進行しています。その結果、本来得られるはずの解熱・鎮痛作用が大幅に低下するだけでなく、分解によって生じた不純物が胃粘膜を直接攻撃し、激しい胃痛やアレルギー様症状を引き起こす危険性が跳ね上がります。
さらに危険なのが目薬の開封後期限です。点眼薬の外箱に「2027年〇月」と印刷されていても、それは未開封フィルムに守られている場合の話に過ぎません。1度でも開封して外気に触れた点眼ボトルは、空気中の浮遊菌や、点眼時にまつ毛・まぶたに触れた際の皮膚常在菌がボトル内部へ逆流します。開封から1ヶ月以上経過した目薬は、外見が無色透明であっても内部で緑膿菌などの細菌や真菌(カビ)が増殖しているケースが散見され、角膜潰瘍や失明につながる深刻な感染症を招く引き金となります。