メガヒットグループが次々と生まれた平成を経て、令和の現代において「国民的」と呼ばれる新たなグループが誕生しない背景には、個々のタレントの魅力不足ではなく、エンターテインメントを取り巻く構造的な地殻変動が存在します。
最大の要因は、テレビメディアの単一的な影響力低下とコンテンツの分散化です。かつては一家に一台のテレビを家族で囲み、同じ番組をリアルタイムで視聴することで共通の話題が形成されていました。しかし現在、若年層を中心とする視聴行動はYouTube、Netflix、TVerなどのオンデマンド配信へと完全に移行し、「全員が同じ番組を見ている」という前提自体が崩壊しました。
2つ目の要因は、SNSやストリーミングのアルゴリズムによる「嗜好のパーソナライズ化」です。TikTokや各種サブスクリプションサービスは、ユーザーが好むコンテンツをAIが学習して最適化して提供します。その結果、自分の興味関心領域においては圧倒的な人気を誇るグループであっても、隣にいる人にとっては「名前すら聞いたことがない」という分断が自然に発生する構造となっています。
3つ目は、ビジネスモデルが「マス向け広告モデル」から「ファンダムエコノミー」へ移行したことです。広く薄く大衆に知られることよりも、強固なコアファンコミュニティを形成し、ファンクラブ会費、ライブツアー、限定グッズ、デジタルコンテンツなどで深くマネタイズする手法が確立されました。結果として、世間全体へ無理にアプローチする必要性がビジネス的にも薄れたという現実があります。