松来未祐さんの演技の真骨頂は、純度の高い「天然・おっとり」と、タガが外れた「暴走」の双方を極限まで突き詰められる点にありました。
『ハヤテのごとく!』の鷺ノ宮伊澄では、極度の方向音痴でありながら強力な霊能力を持つお嬢様を熱演。柔らかく穏やかな京都弁調の語り口で、作品に流れるドタバタ劇の中に極上の癒やしと清涼感をもたらしました。
その真逆のベクトルとして伝説となったのが、遺作の一つでもある『下ネタという概念が存在しない退屈な世界(下セカ)』のアンナ・錦ノ宮です。誰もが憧れる純潔無垢な生徒会長が、とあるきっかけから主人公への愛に目覚め、純粋さゆえの狂気へと変貌していく凄まじい過程を怪演。息をのむような怪しい囁きから絶叫に近いラブコールまで、一切の妥協を排した迫真の芝居は、声優業界内外から「鬼気迫る名演」「松来未祐にしか演じられない領域」と絶賛を集めました。