藤原丈一郎の舞台キャリアを語る上で欠かせないのが、ジャンルを問わず挑戦し続けてきた多彩な出演歴です。エンターテインメントの王道を行くミュージカルから、台本なしの即興劇、重厚な会話劇に至るまで、彼が刻んできた足跡はまさに実力派俳優そのものと言えます。
とりわけ演劇ファンの間で語り継がれている初期の代表作が、2018年および2019年に大橋和也とともにW主演を務めたミュージカル『リューン〜風の魔法と滅びの剣〜』です。複雑な心理描写と高難度の歌唱が求められるファンタジー巨編において、藤原は滅びの剣に支配される少年・リューン・ダイを熱演。殺陣のキレと狂気を孕んだシリアスな演技は、従来の「関西ジャニーズの元気印」というパブリックイメージを鮮やかに覆しました。
さらに、2020年・2021年に上演された舞台『青木さん家の奥さん』では、演出を手掛けた横山裕のもと、ほぼ全編エチュード(即興劇)という過酷な舞台に挑みました。共演陣の不意なボケを瞬時に拾い、絶妙な間合いで客席の笑いを誘う姿は、長年の劇場経験で培ったアドリブ力の高さを証明する決定打となりました。
そして彼のキャリアにおける大きな転換点となったのが、G2作・演出による舞台『月とシネマ』です。2021年の公演中止という苦難を乗り越え、2023年秋に待望の上演を果たした本作で、藤原は名優・中井貴一とがっぷり四つに組み、映画プロデューサーの息子・榊幸太郎役を好演。世代を超えた掛け合いの中で見せた繊細な感情の機微は、劇評各紙からも「若手実力派としての確かな存在感」と絶賛を浴びました。