稀惺かずとを語るうえで避けて通れないのが、日本の近代文化・財界史そのものとも言える圧巻の家系図です。彼女の血統を紐解くと、宝塚歌劇団のDNAが幾重にも織り込まれている事実が浮き彫りになります。
家系図の頂点に位置するのは、阪急電鉄、東宝、そして宝塚歌劇団の創業者である小林一三(こばやし いちぞう)氏。稀惺かずとは、小林一三氏から数えて玄孫(やしゃご=4代後の子孫)にあたります。さらに、父方の祖母にあたる千波薫氏(松岡修造氏の母)をはじめ、親族には宝塚OGが複数名名を連ねており、劇場と舞台芸術の血が脈々と受け継がれてきた家庭環境で育ちました。
父は言わずと知れたテニス界の至宝・松岡修造氏、母は元テレビ東京アナウンサーの田口恵美子氏という超一流の表現者夫妻です。このような環境にあれば、幼少期から特別扱いを受けるリスクや、周囲の好奇の目に晒される危険性は常に付きまといます。しかし、彼女が選んだのは、外部からの推薦や優遇が一切通用しない、実力主義の極致である宝塚音楽学校の門を自力で叩く道でした。