ネット検索で「田川市 噂の真相」や「田川後藤寺駅 治安」と入力すると、暴力的な街、近寄りがたいエリアといった極端な言説が散見されます。いわゆる「修羅の国」という過激なネットスラングの影響を受け、筑豊エリア全体に対して過剰な偏見を抱く層が少なくありません。
福岡県警察が公表している客観的な犯罪統計データを紐解くと、このイメージには明らかな歪みがあることが判明します。田川警察署管内における近年の刑法犯認知件数は、ピーク時と比較して大幅な減少傾向を維持しており、白昼堂々と凶悪事件が頻発しているような事実は確認されません。
では、なぜ治安の悪さが噂され続けるのでしょうか。地元で長年店舗を営む住民は次のように語ります。
「昔の炭鉱全盛期は気性の荒い荒くれ者も多く、ケンカが日常茶飯事だった時代もありました。しかし、それは何十年も前の話です。現在の駅周辺で感じる不気味さの正体は、治安の悪さというより『圧倒的な人の少なさ』と『街の暗さ』ですよ。夜になると商店街の明かりが一斉に消え、人通りが途絶えるため、外から来た人が恐怖を抱きやすい構造になっているのだと思います」
つまり、実犯罪率の高さではなく、急速な過疎化が生み出した都市景観の空洞化が、心理的な不安感を増幅させているのが治安に関する噂の真相と言えます。