ネット上では「突然潰れたのではないか」「経営破綻したのか」といった憶測が飛び交いましたが、信用調査機関のデータや関係者の証言を総合すると、突発的な倒産ではなく、複数の構造的要因が重なった末の事業判断・閉鎖であった実態が浮かび上がります。
閉館に至った決定的な理由は、大きく分けて3点存在します。
第1に、建物の老朽化と莫大な耐震・設備更新費用の壁です。昭和期に竣工した大型建築物は、配管設備の劣化や空調システムの陳腐化が進み、維持するだけで年間に数千万円単位の修繕コストがのしかかります。耐震補強工事や抜本的なリノベーションを実施するには億単位の投資が必要であり、投下資本の回収が極めて困難な計算となっていました。
第2に、新型コロナウイルス感染症の直撃による地域宴会需要の壊滅です。婚礼の簡素化や企業のオンライン会議移行が進んでいたところへ、行動制限が追い打ちをかけました。かつて同館の収益を支えていた大型歓送迎会や祝賀会が長期にわたってゼロとなり、広大な宴会スペースが固定資産税と維持費を生み出し続けるだけの負担へと転落したのです。
第3に、前橋駅・新前橋駅周辺における全国系ホテルとの競争激化です。大浴場やサウナを備えた最新の全国チェーンが駅前エリアに相次いで進出し、出張族のニーズが「車でアクセスする郊外型ホテル」から「駅前で設備が新しい宿泊特化型ホテル」へと急速にシフトしました。