作者の急逝に伴い、一時は完全な未完として幕を閉じると思われた『ベルセルク』。この状況を覆したのが、2022年6月24日発売の『ヤングアニマル』13号における「連載再開の公式発表」でした。連載を担うのは、三浦氏の高校時代からの親友であり『ホーリーランド』や『自殺島』などの代表作を持つ漫画家・森恒二氏と、三浦氏の愛弟子たちで構成される制作集団「スタジオ我画」です。
再開の決断に至った最大の理由は、三浦建太郎先生が生前、親友である森恒二氏に対して「最終回までの全ストーリーとエピソードを詳細に語り明かしていた」という事実にあります。森氏の手記によると、約30年前に名作エピソード「蝕(しょく)」の展開を相談された夜から現在に至るまで、物語の結末に至る全プロットが森氏の頭の中に完全に共有されていました。
森恒二氏は連載再開にあたり、ファンと読者に向けて極めて強い規律を誓約しています。
「自分は三浦が語ったこと以外は一切描かない。三浦が言わなかったエピソードは作らない。記憶が曖昧な部分も創作で埋めることはせず、三浦が自分に託した台詞、ストーリーだけをスタジオ我画のスタッフに伝え、形にしてもらう」
この「創作の排除と忠実な再現」という崇高な方針こそが、編集部、スタジオ我画のスタッフ、そして何より読者を納得させる決定打となりました。遺されたネームや詳細な設定メモが断片的にしか存在しない状況下で、森氏の記憶とスタジオ我画の作画技術の融合が、唯一無二の継承を可能にしたのです。