科学が物理的なプロセスを解明する一方で、心理学や哲学は「主観的な体験としての心」を掘り下げてきました。
17世紀の哲学者デカルトは「心身二元論」を唱え、物質としての身体と、思考する精神を明確に切り離しました。しかし現代の心理学では、身体の感覚と心の動きは不可分であるとする「身体性認知」の考え方が主流です。身体が強張れば心も頑なになり、身体がリラックスすれば心にも柔軟性が戻ります。
また、深層心理学を拓いたユングは、個人の意識の下に広がる「無意識」の領域にこそ、人間を突き動かす根源的なエネルギーがあると考えました。日常生活で「自分の心の在処が分からない」と悩む状態は、意識の表層(義務感や世間体)と、無意識の欲求(本心)が激しく乖離しているサインでもあります。
マインドフルネス心理療法が教えるように、心は過去の後悔や未来の不安へとさまよいがちです。呼吸や身体の感覚に意識を向け、「いま、ここ」にある自分の状態を静かに観察することこそが、見失った心の在処を取り戻す最短のアプローチとなります。