世界的ヒット作となった『孤独のグルメ』だけに、ネット上では「久住昌之の印税収入は数十億円規模」「莫大な不労所得で大富豪」といった憶測が飛び交うことがあります。しかし、出版・映像業界の構造と本人の証言を照らし合わせると、そこには意外な真実が浮かび上がってきます。
まず、日本のテレビドラマにおける「原作使用料」は、どれほど高視聴率を記録しても1話あたり数十万〜数百万円程度の規定額であることが一般的です。どれだけシリーズが長期化しても、ドラマの放映自体によって原作者へ天文学的な金額が自動的に転がり込むわけではありません。久住氏自身もメディアのインタビュー等で「原作料だけで大金持ちになるなんてことはない」と苦笑交じりに語っています。
一方で、久住氏の真の強みとなっているのが「コミックスのロングセラー&海外翻訳出版」と「劇中音楽の著作権」です。単行本はフランス、韓国、台湾、中国など世界各国で翻訳され、累計発行部数は数百万部を突破。さらに、後述するバンド「The Screen Tones」としてドラマの全劇伴音楽を手掛けているため、国内外での配信・再放送・映画化に伴う音楽著作権印税が堅実な収益基盤となっています。推定年収が数千万円規模に達している可能性は高いものの、派手な散財とは無縁で、好きな音楽機材や美味い酒、旅のために時間を使うという、きわめて身の丈に合った生活を貫いています。