野生動物の探索において「遭遇率99%」という数字は、一見すると過度な誇張広告のように受け取られがちです。しかし、南島原市および対岸の熊本県天草市に挟まれた海峡「早崎瀬戸(はやさきせと)」の生態系を紐解くと、この数字が極めて論理的な根拠に基づいていることが分かります。
早崎瀬戸は、有明海の広大な干潟へ海水が急速に流入・流出する要衝であり、最大潮流が約8ノット(時速約15km)に達する日本三大急潮のひとつです。激しい潮流が海底の栄養塩を巻き上げ、プランクトンが爆発的に増殖します。これを目当てにアジ、イワシ、タコ、イカといった多様な魚介類が集まり、食物連鎖の頂点に立つミナミハンドウイルカにとって理想的な餌場が形成されています。
外洋を大回遊する他のクジラ類やイルカ類とは異なり、この海域の群れは回遊を行わず「根付きのイルカ」として定住しています。さらに、長年共存してきた地元の漁業者や観光船に対して警戒心が薄く、船のエンジン音を聞きつけると自ら波に乗って舳先(へさき)に近寄ってくる習性が定着しています。気象台の観測データと地元事業者の運航ログによれば、台風や強風による出航停止日を除き、出航できた便における目撃実績は通年で99%超を記録し続けています。