アリスの活動休止後、彼がソロとして新たな境地を開いたのが演歌や歌謡曲のジャンルだ。特に国民的人気ドラマ『はぐれ刑事純情派』の主題歌となった『愛しき日々』をはじめとする数々の名曲は、幅広い世代の心を揺さぶり、大ヒットを記録した。しかし、フォークから演歌・歌謡曲への転向には、当初本人の葛藤も大きかったという。
その背中を押したのもまた、他ならぬ妻の言葉だった。「あなたの声は、人生の酸いも甘いも噛み分けた大人にこそ届く」という静かな一言が、彼の迷いを払拭した。アップフロントプロモーションに所属し、叙情的なメロディと味わい深い歌声で演歌・歌謡界に確固たるポジションを築き上げることができたのは、最も近くで彼の声の魅力を知り尽くしていた奥さんの鋭い直感と深い理解があったからにほかならない。