境内へ一歩足を踏み入れた瞬間、誰もが息を呑むのが、正面右手にそびえ立つ高さ12メートル、幅11メートル、奥行き10メートルの「獅子殿(ししでん)」です。鉄筋コンクリート造のこの巨躯は、昭和49年(1974年)5月の本殿再建にあわせて完成しました。
神社の公式記録および当時の社頭資料によると、建立の背景には第二次世界大戦の空襲によって社殿がことごとく焼失した歴史があります。戦後の復興期、大阪の経済が急速に発展する中で、「人々の度肝を抜く象徴的な舞台を造り、大阪の街に活気と勝運を取り戻したい」という氏子総代や宮司の強い意志が結実した結果でした。
獅子の大きく開かれた口は、「世の中の邪気や厄災をことごとく呑み込み、人々に勝運(勝利・成功)と幸運・金運を呼び込む」という意味が込められています。単なるモニュメントではなく、内部は本格的な舞台構造になっており、神楽(かぐら)や獅子舞、雅楽が奉納される神聖な祭壇です。目には照明、鼻にはスピーカー、24本の歯は真鍮(しんちゅう)で作られており、日本の伝統芸能と昭和の近代建築技術が高度に融合した唯一無二の宗教建築と言えます。