成井コースを実際に歩いた登山者が口を揃えて語るのが、「ハイキング気分で来たら想像を絶する階段だった」という感想です。登山口の鳥居をくぐると、山頂の奥の院直下まで不規則な石段とコンクリートブロック階段、擬木階段が連続して約千段続きます。
階段歩行は一見すると足場が安定しているように思えますが、運動生理学の観点からは平地歩行や緩やかな九十九折の山道とは全く異なる負荷が人体に加わります。一定の高さの段差を連続して登り続ける動作は、大腿四頭筋(太もも前部)や下腿三頭筋(ふくらはぎ)を集中的に酷使し、短時間で筋疲労と乳酸の蓄積を招きます。
さらに成井コースの階段は、自然石を組み合わせた箇所も多く、一段ごとの高さ(蹴上げ)や奥行き(踏面)が均一ではありません。歩幅を一定に保てないためリズムが乱れやすく、心拍数が急上昇しやすい傾向にあります。日頃運動習慣のない人がハイペースで登り始めると、わずか15分ほどで息が上がり、ふくらはぎの痙攣(こむら返り)を起こすケースが頻発しています。
この階段を安全に攻略するための要点は「歩幅を小さく保つこと」と「かかとを浮かさずに足裏全体をフラットに着地させること」です。太ももの筋力だけで身体を持ち上げるのではなく、骨盤を前傾させて殿筋群(お尻の筋肉)を活用しながら、深呼吸を繰り返すペース配分が不可欠です。