「普通のハンバーグにはもう戻れない」「野菜嫌いの子どもが夢中で完食した」――。料理コミュニティやSNS上には、今なおこのような賛辞が絶えません。栗原はるみさんのれんこんハンバーグがこれほどまでに愛される最大の理由は、単にれんこんをかさ増しとして使うのではなく、「れんこんそのものを主役級の食感アクセントとして設計している点」にあります。
栗原はるみさんは過去の自著やテレビインタビューのなかで、「料理において『歯ざわり』や『音』は、味覚と同じくらい大切なごちそう」という趣旨を繰り返し語っています。通常のハンバーグにおける野菜といえば、細かくみじん切りにしてじっくり炒めた玉ねぎが定石です。しかし、このれんこんハンバーグでは、生に近いれんこんをあえて粗めに刻んで肉だねに練り込みます。口に含んだ瞬間、ふんわりジューシーな肉の柔らかさの奥から、小気味よい「サクッ、シャキッ」という打楽器のようなリズムが響き渡るのです。
さらに家族を唸らせる決定的な隠し味が、肉だねに忍ばせる生姜の搾り汁と少量の長ネギ、そして隠し味のごま油です。これらが豚肉特有の脂っぽさを綺麗にマスキングし、噛むほどに爽やかな風味を鼻腔へと届けます。脂っこい料理を敬遠しがちな中高年層から食べ盛りの若年層まで、世代を問わず満場一致で「旨い」と唸る立体的な味覚設計が、時代を超えて定番の座を守り続ける源泉です。