鈴廣かまぼこを語る上で欠かせないのが、徹底した無添加へのこだわりです。同社では1995年までに化学調味料や保存料、合成着色料を全商品から全廃し、すべて天然由来の素材のみで製造する方針へと完全に舵を切りました。食品添加物に頼ればコストを下げ、日持ちを延ばし、均一な弾力を容易に作り出せますが、鈴廣があえて茨の道を選んだ背景には「魚本来の命と美味しさをそのまま届けたい」という揺るぎない哲学が存在します。
素材には、グチ、オキギス、タラなど、かまぼこに最適な弾力と風味をもたらす天然の白身魚を厳選。調味料も極めてシンプルで、天日塩、本みりん、昆布だしなど、昔ながらの自然素材のみを使用しています。紅白かまぼこの鮮やかな紅色を出す際にも、トマトのリコピンや紅麹などの植物由来の色素を採用しており、人工着色料は一切使われていません。
さらに、仕込みに用いられる水は、箱根丹沢連峰に降った雨水が100年の歳月をかけて地中でろ過された伏流水「箱根百年水」です。ミネラル分を豊富に含み、すり身のタンパク質を引き締める絶妙な水質が、鈴廣ならではのしなやかなコシを生み出す決定的な要素となっています。気温や魚のコンディションに合わせて塩の量やすり鉢の回転時間を秒単位で調整する「伝統工芸士」と呼ばれる熟練職人の手技があってこそ、無添加でありながら極上の食感が保たれているのです。