一族の知名度を決定づけたのが、二男・笹川堯と三男・笹川陽平の2人だ。この兄弟が歩んだ道は対照的でありながら、笹川家のブランドを強固なものにした。
二男の笹川堯は、衆議院議員として自民党総務会長や科学技術担当大臣などの要職を歴任した。男気あるべらんめえ口調と抜群の交渉力で「政界の喧嘩屋」「裏の調整役」として異彩を放ち、自民党内の政局において決定的な役割を何度も果たしてきた。政治家としての泥臭い実力行使は、父・良一の政治的DNAを最も濃く受け継いだ証とも評価されている。
対して三男の笹川陽平は、公益財団法人日本財団の会長として世界中を飛び回るグローバルリーダーとなった。ハンセン病撲滅に向けたWHO保健親善大使としての活動や、海洋保護、大規模災害支援など、父の「慈善家」としての側面を国際的なスケールへと昇華させた。一方は日本の政界を内側から動かし、他方は国際社会における日本のソフトパワーを牽引する。この両輪の存在が、一族の評価を単なる「地方の資産家」から「国家級の動脈」へと引き上げたのだ。