親子の縁を切る勘当は法律上可能か?現実的な手続きと相続対策

親子の縁を切る勘当は法律上可能か?現実的な手続きと相続対策

親子の縁を切る勘当は法律上可能か?現実的な手続きと相続対策に関する疑問や疑問点を徹底的にまとめました。要点を確実におさえることができます。

インターネット上の相談窓口や知恵袋、SNSなどでは、「公証役場で絶縁状を作れば親子の縁が切れる」「勘当届の用紙が役所にあるらしい」といったデマや不正確な言説が散見されます。こうしたネットの噂について、法実務の現場から真偽を徹底的に検証します。

勘当届の有無と実態|公的書式は日本国内のどこにも存在しない

まず明確にしておくべきは、勘当届の有無と実態についてです。全国どこの基礎自治体(市役所・区役所・町村役場)を探しても、「勘当届」なる戸籍関係書類は備え付けられていません。戸籍法に規定されているのは「出生届」「死亡届」「婚姻届」「離婚届」「養子縁組届」「養子離縁届」「分籍届」などに限られており、実の親子関係を解消する届出項目は法的に定義されていないのです。

絶縁状の法的効力|感情の表明にはなっても権利義務は消滅しない

弁護士立ち会いのもとで作成された書面や、公証役場で作成した公正証書であっても、絶縁状の法的効力は限定的です。「今後一切の接触を断つ」「互いに金銭の要求を行わない」といった当事者間の合意事項については一定の証拠能力を持ちますが、法律で定められた強行規定を覆す力はありません。

具体的には、民法第877条第1項が定める「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」という規定や、民法第887条が定める子どもの法定相続権を、私的な書面一本で完全に消し去ることは不可能です。絶縁状は、あくまで「これ以上関わらないでほしい」という感情や意思を相手に突きつける心理的・事実上のプレッシャー材料にすぎません。

松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。