東京バレエ団が国内外の観客を惹きつけてやまない最大の理由は、他の追随を許さない圧倒的なレパートリーの独自性にあります。その象徴が、20世紀を代表する巨匠振付家モーリス・ベジャールとの歴史的提携です。
モーリス・ベジャールは東京バレエ団の研ぎ澄まされた肉体性と規律を高く評価し、不朽の名作『ボレロ』の上演権を同団に託しました。真っ赤な円形テーブルの上で一人の「メロディ」が情熱的に舞い、周囲を取り囲む「リズム」の男たちが次第に熱狂へと巻き込まれていく演出は、世界中でスタンディングオベーションを巻き起こしてきました。現在、この『ボレロ』の主役メロディを踊ることを許されている日本人ダンサーの筆頭がプリンシパル・柄本弾です。彼の彫刻のような肉体から放たれる圧倒的な求心力とダイナミズムは、国内外の批評家から絶賛を浴びています。
さらに同団は、ベジャールが三島由紀夫の世界観や忠臣蔵をモチーフに創作した『ザ・カブキ』や『M』といったオリジナル委託作品を保持しており、これらはパリ・オペラ座やミラノ・スカラ座などの名門劇場でも公式上演されてきました。
一方で、古典グランド・バレエの継承にも妥協がありません。冬の代名詞である『くるみ割り人形』では、ワイノーネン版を基軸にした格調高い舞台美術と、一糸乱れぬ群舞のシンクロニシティが観客を魅了します。古典の精緻な様式美と、20世紀コンテンポラリーの破壊的エネルギーを高次元で両立させている点こそ、世界屈指のバレエ団と呼ばれる所以です。