事件当時のケツ毛バーガー ネットの反応は、単なる好奇心の域を遥かに逸脱し、集団心理に基づく残虐な「ネットリンチ」へと変貌しました。ネット掲示板に投じられたレスポンスは数万件に達し、まとめサイトやWikiが乱立。ユーザーたちは「制裁」「祭り」と称して、実生活を徹底的に破壊する行動をエスカレートさせていきました。
社会心理学において指摘される「没個性化(deindividuation)」と「集団浅慮(groupthink)」が、この暴走の背景に明確に存在します。匿名性の高い空間では個人の罪悪感や倫理的ブレーキが麻痺し、他者を攻撃することへの心理的ハードルが著しく低下します。さらに、他者の不幸や恥部を暴くことで優越感を得る「シャーデンフロイデ(他者の不幸を喜ぶ感情)」が、掲示板という密室的な同調圧力の中で増幅されました。
また、被害女性のアルバイト先であった大手ハンバーガーチェーンの店舗には連日嫌がらせの電話が入り、業務妨害に発展。無関係な企業や関係者を巻き込んだ二次被害が連鎖したことで、民放テレビのワイドショーや一般紙でも大々的に報道されるに至り、社会全体がサイバー空間の無法地帯ぶりと個人の脆弱性を痛感することとなったのです。