なぜ、これほどまでに悪質な居酒屋が街から消えないのでしょうか。その背景には、店舗とキャッチをつなぐ特殊なビジネスモデルが存在します。路上に立つキャッチの多くは、飲食店の直接雇用スタッフではなく、「紹介屋」と呼ばれる独立した客引きグループに属する歩合制アルバイトです。
元キャッチとして都内で活動していた20代男性への取材によると、その給与体系は過酷かつ露骨な成果主義に支配されています。「基本給はゼロで、連れ込んだ客が支払った総会計の25%から、多い時で40%が自分の日給としてバックされる仕組みだった。つまり、客に1万円使わせれば最大4,000円が手に入る。だからこそ、『安いですよ』と嘘をついてでも店内へ誘導し、店側には『単価を取れるカモを連れてきた』と合図を送る。店側もキャッチへのキックバックを支払った上で利益を残さなければならないため、客単価を跳ね上げるお通し代や謎のチャージ料を上乗せせざるを得ない構造になっている」と証言します。
こうした店舗には、外観や内装に共通する明確なサインが存在します。看板に店名が掲示されておらず簡易なスタンド看板のみであるケースや、グルメサイトの掲載写真と実際の店内がかけ離れ、薄いベニヤ板やカーテンで仕切られただけの空間である場合が大半です。また、レシートの発行を拒否して手書きの領収書しか渡さない、インボイス登録番号の記載がないといった点も、悪質なぼったくり居酒屋を見分ける決定的な指標となります。