連載初期の魔太郎が下す制裁は、後年のオカルトバトル路線とは異なり、冷酷無比な直接的復讐が中心でした。これが今なお語られる数々の「トラウマ回」を生み出しています。
とりわけ読者の背筋を凍らせたのが、高圧的な教師や凶悪な不良に対し、魔術的な罠や心理的トラップを仕掛けて社会的・肉体的に完全に破滅させるエピソードです。交通事故に見せかけた事故死の誘発や、閉所恐怖症の相手を暗闇に閉じ込めて発狂させる展開など、藤子不二雄Aの研ぎ澄まされたサスペンス演出が遺憾なく発揮されていました。
単なる悪人退治にとどまらず、人間の心の闇と怨念の深さを視覚化したビジュアルは、当時の子どもたちにとって夜に一人で眠れなくなるほどの恐怖体験となりました。