現在掲げられている区旗に至るまでには、激動の香港 旗 歴史が存在します。アヘン戦争後の南京条約(1842年)から1997年の主権委譲まで、150年余りに及ぶイギリス統治下で使用されていたのは、まったく異なる意匠でした。
かつてのイギリス領香港 旗は、英国の海洋旗である「ブルー・エンサイン」をベースにしたものでした。左上(カントン部)にユニオンジャックを配し、右側のフライ部分に香港の紋章(植民地バッジ)をあしらったデザインです。1959年にエリザベス2世から授与された正式な紋章には、ライオンと中国の龍が盾を挟んで対峙し、海を渡る中国のジャンク船と英国の商船が描かれていました。東洋と西洋の交易接点としての植民地支配を如実に示す構図だったといえます。
大きな転換点を迎えたのが、1980年代後半から始まった香港 返還 旗の変更に向けた動きです。香港特別行政区基本法起草委員会は、未来の特別行政区を象徴する旗と紋章の公募を実施しました。世界中から7,147点もの応募作が寄せられたものの、審査員の眼鏡にかなう完璧な作品は皆無という難航ぶりでした。
選考委員の一人であった高名な建築家・何弢(タオ・ホー)氏の手記によると、審査に行き詰まったある日、庭で風に揺れるバウヒニアの花びらを手にした瞬間、生命力あふれる5枚の花弁の螺旋構造にインスピレーションを得たといいます。何弢氏ら選考チームは、応募作にあった花のモチーフをベースに五星紅旗の星を組み合わせ、現在目にする完成形へと昇華させました。1990年4月の全国人民代表大会において正式に採択され、1997年7月1日未明の返還式典の現場で、ユニオンジャックに代わって厳かに掲揚されたのです。