「しかばり」という言葉の骨格を読み解く鍵は、北関東・下野(しもつけ)方言にあります。栃木県内陸部から宇都宮地域周辺の古語・方言記録を紐解くと、「しかばる(あるいは、しがばる)」という動詞が存在します。
この方言は主に「対象に強くしがみつく」「意地を張ってその場を動かない」「頑固に陣取る」といったニュアンスを持ちます。たとえば、冬場のこたつから頑として出ようとしない様子や、遊具に強くつかまって離れない子供の姿を指して「こたつにしかばる」「しっかりしかばってろ」といった形で使われてきた歴史的経緯があります。
これが現代の若者言葉やネットスラングへと派生する過程で名詞化され、「ある場所に居座り続ける行為」「宇都宮の特定のカルチャーに熱中・密着する状態」を指す隠語として転用されたのが、今回のバズの元ネタです。古典的な方言がデジタル空間でデフォルメされ、新たなスラングとして再生した構図が見て取れます。