現在の山口一郎を語る上で欠かせないのが、うつ病との共生と、そこからの力強い復権です。2022年の発症公表時、音楽業界とファンには大きな動揺が走りました。完璧主義の彼が自らの脆弱性を公の場で開示し、休養を選択したことは、表現者としての大きなターニングポイントとなりました。
その後、2024年に開催された全国ツアー『turn』でステージへの完全帰還を果たし、2025年から2026年にかけては、サカナクションとしての新曲リリースや大型フェスへの出演、さらにはクラブイベント「NF」のプロデュースなど、驚くべき熱量で活動を展開しています。
病気療養を経て、彼の口からは「無理に元気になろうとしない」「病気と付き合いながら生きていく」という、肩の力が抜けた自然体の言葉が聞かれるようになりました。結婚や家庭を持つことによって人生を安定させるのではなく、「音楽を鳴らし、カルチャーを紡ぎ続けること」こそが彼にとって最大の生命維持装置であり、生きる証となっています。