住宅設備業界において、パナソニックやLIXIL、クリナップといった大手総合建材メーカーとは一線を画すスタンスをとるキッチンハウス。ネット上で「キッチンハウスの殿様商売の理由」として槍玉に挙げられる背景には、主に3つの構造的要因が存在します。
第1の要因は、業界の商習慣を覆す「完全ワンプライス制度」です。一般的に住宅設備は定価(メーカー希望小売価格)を高めに設定し、工務店やハウスメーカー経由で「定価の40〜60%引き」として見せる商慣習が根強く残っています。しかしキッチンハウスは実売価格に近い適正価格をあらかじめ提示し、顧客やハウスメーカーによる不公平な値引き交渉を一切受け付けません。値引き合戦に慣れた施主から見れば、この頑なな姿勢が「強気で高飛車」と映る決定打となっています。
第2に、営業対応とショールームの敷居の高さです。週末のショールームは完全予約制で数週間先まで埋まることも珍しくありません。スタッフは過剰な営業電話やクロージングを仕掛けてこない淡白なスタンスを取ることが多く、これが施主ブログ等で「冷たい」「相手にされなかった」と解釈されるケースがあります。自社の世界観に共感する層だけを相手にする姿勢が、良くも悪くもフィルターとして機能しているのです。
第3は、近年の原材料費高騰に伴う度重なる価格改定です。ウッドショック以降、複数回にわたり改定が実施され、オプションを含めると見積もり金額が当初の想定から跳ね上がるケースが続出しました。逃げ道のない価格設定と厳格な納期管理が、「買いたいならこちらの条件に従ってほしい」という印象を強めています。